湿布を貼りながら、明日のシフトを思い出す。明日は入浴介助の日だ。
移乗のたびに「今のは危なかった」と思う。帰り道、信号待ちでまっすぐ立っているのがつらい。それでも休みの相談ができないのは、痛みより「痛いと言ったら迷惑がかかる」の方が重いからではないでしょうか。
でも、これだけは知っておいてください。介護職の腰痛は「よくあること」ではなく、国が対策を求めている労働問題です。
先に結論です
腰痛が続くときは、痛みの強さだけを見ないでください。「どの介助で悪化するか」「一人介助になっていないか」「福祉用具が使えるか」「回復する休みが取れているか」。この4つを確認して、職場に相談する材料にします。痛み自体の判断は、我慢比べにせず医療機関へ。
その腰痛、こんなサインが出ていませんか
- 移乗・排泄・入浴介助のあと、決まって痛みが強くなる
- 夜勤明けや連勤後、回復が追いつかなくなってきた
- 腰をかばって、膝や肩まで痛くなってきた
- 「痛い」と言えないまま、湿布と痛み止めでしのいでいる
腰痛は個人の努力だけで防ぐものではありません。作業方法、人数、福祉用具、教育。職場の環境がそのまま、あなたの腰に出ています。
原因を4つに分けると、相談できる形になる
- 作業:中腰、抱え上げ、ひねり → 「頑張り方」ではなく作業方法の問題
- 環境:ベッドの高さ、狭い浴室、リフトやスライディングボードの不足 → 道具の問題
- 配置:二人介助が必要な場面を一人でやっている → 配置の問題
- 回復:休みが取れず、連勤で痛みが抜けない → シフトの問題
こうして分けると分かるはずです。4つのうち3つは、あなたの体ではなく職場側が変えられるものです。
今日の一歩:痛みが強くなる介助を3つ書く
「腰が痛いです」だけでは、職場は動きにくい。でも「○○さんの浴槽への移乗と、△△さんのベッドから車椅子、この2つで毎回痛みます」なら、二人介助や用具の相談に変わります。
今夜、痛みが強くなる介助を3つ、書き出してみてください。それがそのまま、上司への相談メモになります。痛みが続いているなら、並行して医療機関へ。診断は、休むためにも、職場と交渉するためにも、あなたの味方になります。
それでも変わらない職場なら
相談しても一人介助が変わらない、道具も入らない、痛みは悪化している。その場合は、あなたの腰が壊れる前に、身体介助の比率が低い働き方(デイサービス、見守り中心、訪問の生活援助中心など)への持ち替えを考えていい段階です。体は、替えがききません。
よくある質問
腰痛は介護職なら仕方ないですか?
仕方なくありません。厚生労働省が介護職場向けの腰痛予防対策とチェックリストを出しているほど、対策すべき問題とされています。
痛いと言ったら迷惑ですか?
逆です。言わずに悪化して長期離脱する方が、あなたにも職場にも大きな痛手です。早く言うことがチームを守ります。
転職を考える目安はありますか?
「相談しても一人介助が変わらない」「福祉用具が使えない」「痛みが悪化している」。この3つが揃ったら、働き方を変える材料が揃ったと考えていいと思います。